花のようなひと (岩波現代文庫)

 

花と女性が登場する28編の短編小説。

牛尾篤の挿絵がステキで、超短いストーリーに華を添えている。

小一時間位で読了してしまうが、常に手元に置いておき、時々パラパラッと開いてみたくなる本だ。

 

 

一話が2,3ページ(+挿絵1ページ)なので、あっという間に読み終える。

それぞれ、女性の心の揺れや変化が見事に描き出してあり、佐藤正午さん、女性心理よくご存じで^^って思ってしまう。

 

1.姉の気持・・・スイートピー

2.バラの棘・・・バラ

3.待ち人・・・紫陽花

4.緑の霞・・・ニゲラ

5.Eメール・・・トルコ桔梗

6.破顔一笑・・・白い高貴な花

7.恋占い・・・ピンクの花

8.光の色・・・鉢植えの花

9.地図帳・・・ひまわり

10.ペットボトル・・・ケイトウの花

11.ホームルーム・・・野苺(のような)赤い花

12.イルカの謎・・・デルフィニウム

13.旅支度・・・ピンクの花

14.シック・・・鶏頭の花

15.失恋・・・スカビオサ

16.マフラー・・・水仙

17.無名の記憶

18.送別会・・・ストレリチア

19.母と娘・・・花びらのような白い襟

20.ソフトクリーム・・・白い花

21.未来の香り・・・スズラン

22.留守電・・・パンジー

23.ふたり暮らし・・・アルストロメリア

24.水栽培・・・ヒヤシンス

25.好き、嫌い、好き・・・マーガレット

26.クッキー・・・お菓子のような花

27.絵葉書・・・デンファレ

28.花束・・・カスミソウ

 

私は単行本で読んだけど、8月19日発売の文庫本では、「幼なじみ(岩波書店Coffee Books)」も収録されており、文庫も気になる。

 

 

28のショートストーリーには、固有の花や、抽象的な花など、なにかしらの花が登場する。

初めて耳にする花の名もあれば、よく知っている花、女性が好きな色の花など、3ページごとに登場する花に癒される。

 

 

【デルフィニウム】

デルフィニウム・花

 

28編のなかでも特に私が好きだったのは、「イルカの謎」「ホームルーム」「マフラー」

 

「イルカの謎」は、英語でドルフィンと呼ぶデルフィニウムの謎めいた思い出のお話。

 

「ホームルーム」は、校舎に活けてある茎の曲がった花を、協調性のないクラスの生徒に例え、強烈な思い出となるであろう話をした先生のお話。

 

「マフラー」は、シャトルバスを待つ間、隣に座った男のマフラーと自分のマフラーを間違えた女性のお話。これから車中で何かが起こる予感がする、正午さんらしい展開話。

 

 

 

あと1編気になったのが、「無名の記憶」

 

このお話には花が登場しないんですよね。図書館の窓際から外を眺めると女性が歩いてくる姿を見、室内の物音に気を取られている間に姿が消えていた。一瞬こちらを振り返った表情から目をそらしてしまったのをいまだに後悔しているというお話。

 

それは私がまだ若かった頃の話だ。

 

という記述から察するに、正午さんの体験から書かれたのではないだろうか。

 

実際の花は登場しないけど、一瞬出会った女性こそが、桜花のようなひと桜 だったんだろうなぁ〜♪

 

一瞬のできごとを600字くらいにまで膨らませる文体に圧倒させられる!

 

 

佐藤正午の魅力ある短編集は読んでみる価値あり。and,想像力をふくらませるので、右脳に良い刺激を与えるかも。(人によっては。)

 

最近佐藤正午にドはまり中で、気が付けば佐藤正午ばかり読んでいる今日この頃の私である。

 

 

 

 


  • 2024.03.27 Wednesday
  • -
  • by スポンサードリンク


PR

サイト内検索

新着記事

カテゴリー

スマートフォン

運営者

アーカイブ

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM